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空の安全を守る!「想いを乗せるフライト」 ~機上の空論 上空1万メートルからのエピソードvol.4

藤岡 裕美子

CAが多くのフライトを重ねる中でたどり着いた接客への想いとは?「機上の空論 上空1万メートルからのエピソード」は、現役・元CAが「私にとって接客とは」というテーマでお送りする、リアルなエピソード満載の連載コラム。 第一回目は航空機は、人や物を目的地まで運ぶ手段?!ではありますが、もっと奥深いものがあることに気付かされたエピソードをご紹介致します。

CAのリアルなエピソード満載!「私にとって接客とは?」 


接客業の代表としてもよく挙げられるCA(客室乗務員・キャビンアテンダント)。


お客様に快適な機内での時間を過ごしていただきたいという想いで働いている点はみんな同じですが、実際にフライトで様々な体験を重ねる中で、その想いもそれぞれ個性を持っていきます。

 「機上の空論~上空1万メートルからのエピソード」では、フライトでの印象的なエピソードや意識の移り変わり、そして接客に対する想いを連載形式でお伝えします。 


今回は元JAL客室乗務員の藤岡裕美子がお届けいたします。


憧れの気持ちからスタート

私は、父親が航空関係の仕事(他社ですが)をしていたこともあり、幼いころから飛行機が大好きで、CAに憧れていました。


でも、仕事に出ていくときの父にはジンクスがいくつかあり、例えば、手から落ちてしまった衣類やハンカチは絶対に身につけない!など、子供心に「飛行機って特殊な乗り物なのかな」と思うこともありました。 

そんな私も念願かなって内定を頂き、訓練を終えて無事にラインアウトするとき、父から言われた言葉は、「保安要員としてのプライドを持つこと」でした。

私は、これから出会うお客さまに、自分が幼いころからそうしてもらったように、明るく、優しく接していきたいと思っていたので、正直「どういうこと?」という気持ちでした。

どんなお客さまにも丁寧に、おもてなしの気持ちをカタチにしたい、そう思ってフライトしていたある日のこと。

フライトし始めてまだ半年も経っていないころ、羽田-小松路線で、それは起こりました。


ターニングポイントになった小松フライト

羽田-小松線はフライトタイム(離陸してから着陸するまで)が45分、シートベルトサインが消えているサービスできる時間は20分ほどの非常に短い路線です。

しかも、下り便では時々航行中に航路がショートカットされ、突然35分ほどのフライトタイムになることもあります。

その日はジャンボジェット(500席ほど)が満席で、機内後方を担当していた私のエリアは旅慣れないご年配の団体旅行のお客様でいっぱいでした。


離陸してシートベルトサインが消え、さぁサービス、と思っていたら、お客さまが口々に「飲み物は何があるの?」「ジュースは何があるの?」のオンパレードで、丁寧に答えていたら、コックピットからの連絡で、やはりフライトタイムが10分短くなったとのこと。


その日は天候がよかったこともあり、そのエリアの担当の責任者の判断で、サービス終了時間を過ぎても、あと数名、サービスができなかったお客さまに後方担当のCA数人でお飲物をお出しすることに。


ドリンクカートがギャレーと呼ばれる飛行機の台所に戻った時には、もう想像以上にばたばたでした。

サービスを優先しすぎたばかりに、安全確認などのその他の業務を、余裕を持って行うことができなかったことに気づきました。

このフライトをきっかけに、父の言う「保安要員としてのプライド」の意味が分かったように思います。


藤岡 裕美子

はじめまして。 藤岡裕美子と申します。 私は剣道に取り組んでいたこともあり、常に日本の歴史や文化に興味を持ってきました。 ただ、幼いころから語学が好きで、CAになることが夢だったので、つい海外に目をむけていましたが、最近では改めてドメスティックな目線が強くなりました。 日本には相手を思いやる文化が根付いていて、そこには常に美学という概念が根底にあります。 (たとえば、剣道の試合では1本取ったあとにガッツポーズをするとその1本が取り消されてしまうルールがあるんですよ!) 特に立ち居振る舞いやしつらえなどは、接客やその空間のことだけととらえられがちではありますが、日本人以上に日本文化が海外の方に評価される中、今やビジネスのみならず、様々なシーンでおもてなしの心が求められ、その心を表現するためのマナーも知らなくては、その心を相手に伝えるのは難しいと思っています。 私は、現在PRという、様々なコミュニケーションツールを用いて、“人に情報を伝える”という仕事をしています。 CAメディアでは、二十四節気など生活に根付いた和の文化や、おもてなしのマナーなど、「和」を中心にお伝えしていくつもりです。 皆さんに、ちょっとでも日々の四季感を豊かに楽しんでもらえるお話を執筆していきたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

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