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空の安全を守る!「想いを乗せるフライト」 ~機上の空論 上空1万メートルからのエピソードvol.4 (2/3ページ)

藤岡 裕美子

CAが多くのフライトを重ねる中でたどり着いた接客への想いとは?「機上の空論 上空1万メートルからのエピソード」は、現役・元CAが「私にとって接客とは」というテーマでお送りする、リアルなエピソード満載の連載コラム。 第一回目は航空機は、人や物を目的地まで運ぶ手段?!ではありますが、もっと奥深いものがあることに気付かされたエピソードをご紹介致します。

おもてなしの心はありながらも・・・


もちろん、お客さまには快適に飛行機内でお過ごしいただきたい。

どんなCAにも、おもてなしの気持ちは人一倍あります。

お客さまからの「ありがとう」の一言で、どれだけ救われ、やりがいを感じてきたか、数知れません。

しかし、やはり飛行機は特殊な乗り物である以上、安全に、安心してお乗りいただくことが第一です。

天候の悪いフライトでも、イレギュラーがあっても、すべてのお客さまに安心して、お座席にお座りいただけるよう、安心感が持てるCAになりたい、と思い、誠実さと笑顔を大切にしようと、フライトに臨むようになりました。


そして、2011年3月11日。


午後から羽田-金浦線(ソウル)の日帰り往復フライトを担当するために、出社し、機内でコックピットとのブリーフィングを行っていた時、あの地震が起こりました。


機内にはテレビもなく、コックピットで聴くことができるラジオが唯一の情報源で、クルー全員がそのフライトがどうなるのか、空港にいらっしゃるお客さまはどうされているのかを心配していました。


滑走路に亀裂があるかもしれない、ということで確認作業が終わるまで、成田、羽田とも滑走路が閉鎖され、運航再開のめどはしばらくたちませんでした。


空港のロビーでは、多くのお客さまが非常に不安がられ、頭痛や吐き気など訴えられる方もたくさんいらっしゃいました。

そんな中、フライトがどうなるか決定されるまで、チーフの許可を得て、韓国人機内通訳の方とさまざまなお客さまのご質問に答えられるよう、出発ロビーに立ちつづけました。

分からないことは「分かりません」とお伝えするなど、めどがたっていないことはそのままにお答えするしかありませんでしたが、CAの姿が見えるのと、見えないのとではお客さまの不安や疑問の感じ方がきっと違っていたと思います。

どこへも行き場のない言葉を抱えたままだと、不安になってしまいがちです。

「まだめどが立っていません」とだけでも言葉をかけられたら、感じ方も変わるのではないか…

そう思ってお客さまに接し、また機内にいるクルーとはこまめにお客さまの状況や不安に思っていらっしゃることを共有しました。


そうすることでいつも以上にクルー同士に結束力が生まれ、そのフライトのクルーコミュニケーションは、すごくスムーズにすすみました。


その後、その日のうちに金浦までのフライトが決定し、ソウルへフライトしただけではなく、金浦からの復路便もフライトが決定したので、3月11日のあの日に、なんと!私は韓国を往復したことになります。


後日、お客さまからそのフライトのクルーと、羽田と金浦の空港ロビーで立っていた私に「不安だったなか、CAさんたちの笑顔を見て落ち着くことができた」と、お褒めの言葉を多数頂戴いたしました。 

藤岡 裕美子

はじめまして。 藤岡裕美子と申します。 私は剣道に取り組んでいたこともあり、常に日本の歴史や文化に興味を持ってきました。 ただ、幼いころから語学が好きで、CAになることが夢だったので、つい海外に目をむけていましたが、最近では改めてドメスティックな目線が強くなりました。 日本には相手を思いやる文化が根付いていて、そこには常に美学という概念が根底にあります。 (たとえば、剣道の試合では1本取ったあとにガッツポーズをするとその1本が取り消されてしまうルールがあるんですよ!) 特に立ち居振る舞いやしつらえなどは、接客やその空間のことだけととらえられがちではありますが、日本人以上に日本文化が海外の方に評価される中、今やビジネスのみならず、様々なシーンでおもてなしの心が求められ、その心を表現するためのマナーも知らなくては、その心を相手に伝えるのは難しいと思っています。 私は、現在PRという、様々なコミュニケーションツールを用いて、“人に情報を伝える”という仕事をしています。 CAメディアでは、二十四節気など生活に根付いた和の文化や、おもてなしのマナーなど、「和」を中心にお伝えしていくつもりです。 皆さんに、ちょっとでも日々の四季感を豊かに楽しんでもらえるお話を執筆していきたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

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