日本航空(JAL)海外基地乗務員の元祖教官が語る!日本人訓練生と海外基地訓練生の違い
日本航空が初めてヨーロッパ基地の客室乗務員を採用した際に訓練教官であった元日本航空男性客室乗務員の川井利夫さんに、日本人訓練生と海外基地訓練生との違いなど当時のエピソードを伺いました。
ヨーロッパ基地乗務員の元祖教官にインタビュー!日本航空(JAL)が初めてヨーロッパ基地の客室乗務員を採用した際の貴重なお話しをお伺いしました
今でこそ日本の航空会社で外国人CAが乗務しているのは普通のこととなりましたが、導入当初は「青い目のCAが空を飛ぶ」などメディアからも注目を集め大騒ぎだったそう!
ここでは日本航空(JAL)が初めてヨーロッパ基地の客室乗務員を採用した際の訓練教官であった、川井利夫さんに当時の資料を見せていただきながらお話を伺いました。
編集部:川井さんは日本航空が初めてヨーロッパ基地の客室乗務員を採用した際の訓練教官だったと聞きました。
川井さん:チーフパーサーとして5年目に入ったとき、訓練部に行くようにと教官発令を受けました。「新人CAたちの教官か、それも悪くないな」なんて思いながら、訓練部に赴きました。
出頭すると、「サンパウロ基地でブラジル人CAを採用することになった。君にはブラジル人の担任をしてもらう」と言われました。
そして、毎日英語漬けで、やっとブラジル人CAの訓練が終わると今度は、
「ヨーロッパベースのCAを採用することになった。今度はイギリス人クラスの担任をしてもらう」との発令が。
こうして立て続けに海外基地乗務員の訓練を担当することになりました。
編集部:日本人訓練生と海外基地の訓練生では色々違いもあったのではないでしょうか。一番の違いは何でしたか。
川井さん:田んぼを耕し、種をまき、雑草を取り除き、肥料をやり、毎日毎日稲の世話をして、やっと実った稲を収穫できる。日本人は実がなるまでの間も地道な努力をし続けます。その努力がないとよい収穫ができないからです。
それに対して狩猟を行なってきた民族は、獲物を確保できるかできないかで生きてきました。いかに獲物を確保するかでした。そして、結果がよくなければ食べ物にありつけないと考えるのが彼らの考え方です。
「Good」ではダメ?結果こそ全ての文化
川井さん:訓練でも似たようなところがありました。日本人の場合は、よいCAになろうと一生懸命努力していると、今は一人前にできなくても、教官は悪い評価はしません。「悪くないよ」と伝えます。
ヨーロッパ人の場合は、「悪くないよ」と言っても満足しません。なぜなら彼女(彼ら)たちは、ちゃんとできて、「Excellent」や「Very Good」という結果を出すためにやっているからです。単に「Good」ではダメなのです。
契約社会では、その程度では結果が出ていないとなり、契約を打ち切られる恐れがあるからです。その意味でヨーロッパ人訓練生は必死でした。そのため、教官も、評価が「Yes」なのか「No」なのかはっきり言ってあげることが求められます。契約社会で生きてきた人たちと、その部分をややあいまいにする日本人とでは、ものごとの受け取り方が違うところがあります。