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チーフから学んだマニュアルの本当の意味~機上の空論 上空1万メートルからのエピソードvol.5

菊地 麻衣子

CAが多くのフライトを重ねる中でたどり着いた接客への想いとは?「機上の空論 上空1万メートルからのエピソード」は、現役・元CAが「私にとって接客とは」というテーマでお送りする、リアルなエピソード満載の連載コラム。第5回は「チーフが教えてくださったマニュアルの本当の意味」というテーマで菊地 麻衣子がお送りいたします。

CAのリアルなエピソード満載!「私にとって接客とは?」


接客業の代表としてもよく挙げられるCA(客室乗務員・キャビンアテンダント)。

お客様に快適な機内での時間を過ごしていただきたいという想いで働いている点はみんな同じですが、実際にフライトで様々な体験を重ねる中で、その想いもそれぞれ個性を持っていきます。

「機上の空論~上空1万メートルからのエピソード」では、フライトでの印象的なエピソードや意識の移り変わり、そして接客に対する想いを連載形式でお伝えします。


今回は学生の頃から接客が大好き!!CAからホテルコンシェルジュへ転職し、接客を極めたいという想いで走ってきた菊地 麻衣子がお届けします。



大きな夢を持って入社したJALで最初のスランプ


私は学生の頃から、「X’masだって喜んでアルバイト先でホールサービスを!」という位接客の大好きな変わった学生で、他業種も含め多くの会社を受けた就職活動も、最終的には迷わずにJALへの入社を決めました。


「客室乗務員はサービスの頂点」という想いがあり、JALでサービスを出来ることをとても楽しみにしていました。

しかし、そこへ待っていたのは「大きな会社でサービスをすること」というマニュアルの壁だったのです。



新入社員研修で指摘された熱いスープの提供方法


モックアップという実際に使用している機内を再現した研修場でのとある日のこと。

 小さなお子様役の同期へスープを提供するというのが私への課題でした。

習った通りにテーブルを出して差し上げ、「お子様へ温かいスープの提供」というポイントを踏まえた私は、自信満々にカップを二重にして出しました。それに対し、教官はこうおっしゃいました。


「素晴らしい心掛けだけど、不正解。正解はお水で薄めて出すこと。あなたのして差し上げたことは、客室乗務員全員が出来ることではないし、残念ながら経費が掛かります。」と。

教官に言われた瞬間、私の頭に中には「???」でいっぱい。お子様であっても温かいものは出来るだけ温かく提供した方が良いのでは?

皆が出来ないなら、こういう方法もあると教えて差し上げれば良いのに!と一通りのマニュアルで統一されてしまうことへの反発心を持ったものでした。


今考えれば、保安上の面では多少ぬるくてもお水を入れた方が良いこと、大企業が一つマニュアルを変えて掛かる経費のことなど、いくらでも教官のおっしゃっていたことの意味が分かりますが、まだまだ未熟な私はそれを呑み込めずにいたのでした。



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