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「想いを乗せるフライト」 ~機上の空論 上空1万メートルからのエピソードvol.1~ (2/2ページ)

HIROMI

CAが多くのフライトを重ねる中でたどり着いた接客への想いとは?「機上の空論 上空1万メートルからのエピソード」は、現役・元CAが「私にとって接客とは」というテーマでお送りする、リアルなエピソード満載の連載コラム。 第一回目は航空機は、人や物を目的地まで運ぶ手段?!ではありますが、もっと奥深いものがあることに気付かされたエピソードをご紹介致します。


想いを運ぶ乗り物


「お客様は、どんな想いで飛行機に乗っていらっしゃるのだろうか。」


あのXmasフライトの女性のお客様にお会いするまでは、そんなことをきちんと考えたことはありませんでした。

航空機は、人や物を目的地まで運ぶ移動手段として使われるものです。

しかし、航空機は、そのような単純なものを運ぶ乗り物という役割だけではなく、もっと大切なものを一緒に運ぶものだということを、そのお客様から教えていただきました。


「航空機は、人の想いを乗せて飛行する乗り物」ということ。


Xmasイヴにあのお客様に出会ってから、そんな視点で客室を見渡すと、これまで感じ取ることができなかった想いが伝わってくるような気がしたのを思い出します。


大きな取引に向けて緊張しているお客様。

商談が成功して、ほっとしているビジネスマン。

久々の家族旅行でウキウキしているお子様と、旅行のために一生懸命準備し、働いてきたお父様、お母様。

久々の帰省を楽しみにしているお客様。

ラブラブの幸せいっぱいな新婚旅行カップル。

はたまた、商談が上手くいかず落胆しているビジネスマン。

不幸があって駆けつけなければならない状況のようなお客様。

時間がなくて急いでいるお客様。

恋人とお別れをしてきたお客様。


十人十色、さまざまな「想い」を乗せて、目的地へお客様を安全にお連れする乗り物。


もっといってしまうと、お客様の人生さえも乗せて飛行していると言っても過言ではないのかもしれません。



更に、お客様のご家族や、お友達、同僚の方々等、そのお客様にとって大切な方々の想いまでも一緒に乗せているものだと考えると、航空機は、ドラマチックかつ、責任重大な乗り物なのだと痛感しました。

そう考えていくと、安全かつ保安ということに対しても、これまで以上に重い責任があるものだと感じたのを覚えています。


また、そんな機内で、お客様とほんのひと時でも関わることができる客室乗務員という仕事には、一期一会の醍醐味があるように感じました。




お客様の人生のほんのひと時に寄り添える素敵な仕事


客室乗務員の仕事だけでなく、他のサービス業全般に対しても、接客という仕事は、「お客様に関わる」事を通し、お客様の人生のほんのひと時、一瞬に「寄り添える」素晴らしい仕事だと思います。

人は各々の人生の中、その時々において、様々な気持ちや想いを抱えて生きています。


そんな人間同士がたとえ一期一会であっても、「出会って、関わる」、というのは、何ともドラマチックであり、出会いがとても大切なものに感じてなりません。



ほんの少しだけ、お客様の人生の一瞬に関わることができる仕事。 

接客という仕事は、後々にお客様の人生の中の思い出となって、ちょっとしたエッセンスを加えることができる仕事。

そして、その経験はお客様だけでなく、接客する側にも、小さくも大切な気付きや、何らかの学びを与えられることが多々あるように思います。



私はこのXmasフライトのお客様との出会いや、乗務員の仕事を通し、一期一会の大切さや、相手の想いを感じ取り、それに共感することの大切さを学びました。


一人一人のお客様をしっかりと観察し、関わらせていただく。

そんな気持ちでお客様に接すると、新たな気づきや感動が得られる、そんな素敵な体験が得られる仕事が接客業だと思います。



それにしても、あの女性のお客様の涙の訳は一体何だったのでしょう。時を経た今もたまに思い出します。

大切なことを教えて下さったお客様、今、笑顔の絶えない毎日を送られていることを願っております!


執筆: CAメディアライター HIROMI



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