政府チャーターってどんなフライト?基本情報とその裏側を乗務経験のあるCAが解説
政府チャーター機とは、政府の要請により民間航空会社が運航する臨時フライトのことです。武漢へのチャーター機が出たことで話題となっていますが、政府チャーター機とは通常のフライトとどう違うのでしょうか?政府チャーター機の乗務経験のある元CAが、体験談も交えて解説します。
政府チャーター機ってなに?政府専用機とは違うの?
最近、ニュースでもよく耳にする政府チャーター機。政府チャーター機とは、政府の要請により、民間の航空会社の機体を用いて運航を行う便のことを指します。
「政府専用機のこと?」と思われるかもしれませんが、政府チャーター機とは別物です。政府専用機は航空自衛隊が運航をしますが、政府チャーター機は民間航空会社が運航をします。
実は政府専用機は、以前のボーイング747-400型機はJALが、現在のボーイング777-300ER型機はANAが政府から整備委託を受けて、機体のメンテナンスを行っています。
このように政府の要請により民間航空会社が連携をし、整備サポートをしたり、チャーター機の運航をするなど、国の有事に備える体制が出来ているのです。
政府がチャーター機を使うときってどんな時?
政府が、国際的な援助活動や、平和協力活動の実施を決めた時、人員や物資の輸送に飛行機が必要となります。
政府専用機は、政府と要人の公務に使用される他、上記の援助活動にも用いられるものの、機体はたったの2機しかないため、実質使用範囲は限られています。
そのような時、政府は民間航空会社にチャーター機を要請するのです。
日本各地、世界各地でオペレーションのノウハウを持っている航空会社であれば、速やかに飛行機を飛ばす対応が出来ます。
そして今回の武漢への政府チャーターのように、人員の輸送が主な目的となる場合には、客席数の多い民間航空機の方が適していることもあります。
このように、政府が民間航空会社にチャーター機を要請することは少なくないのです。
政府チャーターは通常のフライトと何が違うの?
政府チャーターのフライトでは、基本的には航空会社が提供するサービスをベースとしていますが、少々異なる部分もあります。
まず担当する乗務員には、チャーター機の主旨や搭乗者の概要など、様々な情報が事前に共有されます。チャーター機の目的によっては機密性が高い場合もあるので、むやみにお客様に任務に関する質問をしないようにとの注意喚起もあります。
機内では、着席するエリアごとにお客様の属性が異なることもあるので、対応する際の注意点などもしっかり頭に入れておくことが大切です。
定期便の就航の無い空港へのチャーターともなると、到着地では搭載できないアイテムが多めに積まれていたり、機内アイテムの取扱いや処理方法が異なるなど、備品の搭載面でも通常とは異なる点が多くあります。
また、搭乗した方々の中でオリエンテーションが必要な場合には、代表の方に機内アナウンス用のハンドセットをお貸しするなど、サービス面でも通常のフライトとは異なる場面が少なくありません。