創業は江戸時代。飛騨高山の料亭「角正(かくしょう)」で味わう精進料理 (4/4ページ)
飛騨高山というと精進料理というイメージを浮かべる人も居るのではないでしょうか? 江戸時代に創業し200年以上もの歴史を持つ、飛騨高山で唯一の精進料理料亭「角正」。そんな角正のこだわりの精進料理の魅力に迫りました。
五味すべてが混ざり合う! 名物料理の生盛膾
五味(酸・苦・甘・辛・鹹)すべてを一皿で体感できる、飛騨地方の伝統料理、生盛膾(いけもりなます)。
お皿の上ですべて混ぜ合わせてからいただきます。
ベースとなる豆腐のソースは、こっくりとしたデザートのようななめらかさ。
口の中で代わる代わる色々な味が登場し、でも反発しあうことはなくとても美味しいという、何とも不思議なお料理。
飛騨地方を訪れた際にはぜひ召し上がっていただきたい一品です。
精進料理がこんなにも彩り豊かに!
食べてしまうのがもったいないほど可愛らしく、彩りも豊かなこちらのお料理。
・椎茸のお寿司
・パプリカのお寿司
・擬製豆腐
・牛蒡の胡麻和え
・香茸の甘露煮
・金柑
・雷蒟蒻
・タラの芽のけしの実のせ
・みたらし小芋の荏胡麻味噌
・生麩の時雨煮
と10種類のお料理が色とりどりに並んでいます。
精進料理ということをうっかり忘れてしまいそうなほどの華やかさ。
中でもびっくりしたのが金柑の美味しさです。
金柑というと少し苦いか酸っぱいか、逆にその苦味を押さえるためかなり甘く煮てあるかというイメージだったのですが、こちらの金柑はそのどれでもありませんでした。
柔らかくほんのりとした優しい甘さ。
今までに食べたことのない、上品な金柑の味でした。
その秘密は、金柑の皮を包丁で丁寧にむくところにあるのだそう。
そうすることで苦味が薄くなり、金柑本来の甘みを味わうことができるのです。
身体に染みわたる上品なお出汁
最後はこちらのお吸い物。
筍、空豆の葛粉揚げ、菜の花、柚子のお麩という春の訪れを感じさせる具材がたっぷり。
そしてなんといっても椎茸からとったお出汁が最高です。
上品で優しい味のお出汁が旬の野菜の味をさらに引き出し、身体に染みわたっていきます。
日本の自然の恵みを感じる豊かな時間を
今回の取材を通して感じたのは、精進料理ってこんなにも彩り豊かで味がバラエティーに富んでいるのだということ。
修行やご法要の食事というよりも、究極に贅沢な日本ならではのお料理という印象に変わりました。
日本にいながらイタリアン、フレンチ、中華、エスニック料理など世界中の料理を楽しむことができますが、時にはこのように歴史ある空間に包まれながら、ゆっくりと舌の感覚を研ぎ澄ましてみるのはいかがでしょうか。
四季折々の美しさ、自然の恵み、栄養たっぷりの野菜、伝統の出汁を使った調理法など、日本に生まれた幸せをひしひしと感じながら豊かな時間を過ごせるはずです。
■角正
住所:岐阜県高山市馬場町2-98
電話:0577-32-0174
HP:http://www.kakusyo.com/index2.html