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「機内食が教えてくれた接客術」 機上の空論 上空1万メートルからのエピソードvol.3 (2/2ページ)

磯部 久美子

CAが多くのフライトを重ねる中でたどり着いた接客への想いとは?「機上の空論 上空1万メートルからのエピソード」は、現役・元CAが「私にとって接客とは」というテーマでお送りする、リアルなエピソード満載の連載コラム。第3回は「機内食が教えてくれた接客術」というテーマで磯部久美子がお送りいたします。

お客様の立場になって考える


機内食はひとつのトレイに前菜、サラダ、デザート、そしてメイン。どれから食べようかな~ってワクワクしますね。
今では、機内食の種類も2、3種類あって、CAがご希望をお聞きします。『どちらにしようかな~』って迷うのも楽しみですよね。


でも、これがCA側からすると、一番苦労するところなのです。


狭い機内、搭載量も限られています。全てのお客様に満足いくように配布するのは本当に難しいのです。
うまくいった時は、本当に嬉しいものです。
ですから、トラブルも数しれず。



ヨーロッパからの帰り便での出来事。和食と洋食のチョイスがあったのですが、ヨーロッパ帰りで日本食が恋しくなっている方が多く、和食を希望なさるお客様が殆んど。


そのお客様は、私たちがお食事をお聞きするときには、お休みになっていました。
案の定、和食はあっと言う間になくなり、洋食を召し上がって頂くしかない状況に。


お目覚めになってから、お客様に事情を話しに行きましたが、

『俺は、和食が食べられるというからJALを選んだんだ!もういい!東京に着くまで何もいらない!』とご立腹。


時折お席にお伺いし、お飲み物を勧めたり、軽いお食事を勧めたりするのですが、「俺は食べない」の一点張り。



そんな時、そのお客様がお席を立った折り、化粧室近くのバーカウンターにあるおつまみをつまんでいらっしゃる姿が目に入りました。
ヨーロッパからの帰りは約12時間。お腹がすきます。そのまま飛行機を降りて頂くわけにはまいりません。

やはり何か食べて頂かなくては…
そこで私たちはある作戦を練りました。
お席を立った折り、担当でないCAがお声をかけ、バーカウンターで色々お話をして、軽いスナックを勧めましょう!と。

これが大成功でした。
周りのお客様にわかるようにクレームして食べない!って言った手前、ご自分の席で食事をするということはお客様のプライドが許さなかったのでしょう。


最後には、バーカウンターでしたが、カップ麺を召し上がり、「美味しいね~JALに乗ってよかったよ。ありがとう!」って言って頂きました。


お客様もきっと居心地が悪かったことでしょう。大人げなかったと思っても、もう後戻りできない。
そこを上手にお客様の立場に立って、一番お客様が望んでいることは何か?を考えること。
それがCAの接客なんだ、と改めて接客のむずかしさを学んだ出来事でした。


今でも、あのお客様のカップ麺をおいしそうに食べる姿忘れられません。


たかが機内食、されど機内食


たかが機内食、されど機内食。そこには毎回色々なドラマが詰まっているのです。

CAはただ何気なく配っているだけではなく、機内食を通じてお客様に喜んでいただこうと頭をフル回転させています。

今度飛行機に乗られるときには、そんな想いも感じながら機内食召し上がっていただけたらなと思います。

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